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松尾貴史の演劇ユニット・AGAPEstoreの“最終公演”に行ってきました。

モノマネやパントマイム、テレビ番組のナレーションにコメンテーター……と、その幅広い芸風で様々なメディアで親しまれてきた「キッチュ」こと松尾貴史
舞台出演も多い氏が、「AGAPEstore」という名で演劇ユニットを旗揚げしたのが1998年。

それから12年を経て、「元々10年でやめるつもりだった」という理由(うっかり「10周年」に気づかなかったそうです・笑)で、今正に、その「AGAPEstore」の最終公演を行っています。

公演名もズバリ「残念なお知らせ」

AGAPEstore


先週末に大阪公演が行われたので観に行ってきました。

内容は、人気子供番組の出演者たちが、長崎での公演の前夜、ホテルの一室で繰り広げる密室劇。
腹黒い「うたのおにいさん」、クビにさせられそうな「うたのおねえさん」、裏のありそうな「たいそうのおにいさん」、人形キャラクター「キョロタン」を操る50歳の人形師責任逃れに必死なプロデューサー、そこへ突然現れる謎の女性、そして、着ぐるみを着たまま何者かに刺されてしまった主役……。
明日のショーはどうするのか? というか、なんで着ぐるみ着たまま刺されたのか……。

子供の人気者を演じる大人たちの「裏の顔」を「完全なフィクション(笑)」で描いた、馬鹿馬鹿しくも人間の本性をえぐるような生々しさと、すこしホロッと来るようなドラマが展開される、観応えたっぷりの2時間でした。

僕が初めてAGAPEstoreを見たのは1999年の「D/J」でした。
当時キッチュは「舞台でモノマネは封印する」と言いながらモノマネ・曲芸を連発していましたが、人形師を演じた最終公演では枯れた中年をリアルに演じ、得意芸はかなり控えめ……と思いきや、パントマイムもモノマネもさりげなく織り交ぜ、人形の操る手つきは本業かと思わせるほどで、「キョロタン」に生命が宿っていました(笑)。

AGAPEstoreの公演は、公演毎に毎回出演者が違い、これまでに沢山の役者さんが様々な役柄を演じてこられてきましたが、誰もが口にするのは「稽古場の雰囲気が独特」。
曰く、「遊んでばっかりでなかなか稽古が始まらない」
曰く、「ユルくて面白い」
曰く、「遊びの延長」
座長が稽古場に来ると空気が凍る、演出家の容赦ない言葉に若い役者が涙する……といった目の血走ったような稽古は一切なく、面白楽しくやることで本番も面白楽しい舞台にする、というのがAGAPEstoreのスタイルのようです。この日の舞台も、そんな肩の力が抜けた、自然でリアルな「ユルい」空気に包まれていて、12年間まったりマイペースに歩んできた成果が、上手く凝縮されているように思いました。

終演後の挨拶で、「シーズン1が終わった、という程度のもんなんで、またやります」と照れくさそうに言っていたキッチュ。また近いうちに再開できることを楽しみにしたいと思います。


キッチュの「昭和天皇から永六輔にモーフィングするモノマネ」が好きな 編集部I
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